顔のシワの悩みは、一つだけとは限りません。「眉間の表情ジワも気になるし、ほうれい線のたるみも深刻。おまけに目元の小ジワも増えてきた」というように、複数の種類のシワが同時に存在し、複雑に絡み合っているケースがほとんどです。このような複合的な悩みに対して、一つの治療法だけでアプローチしても、満足のいく結果を得るのは難しいでしょう。そこで重要になるのが、それぞれのシワの原因に的確に対応する複数の治療法を戦略的に組み合わせる「コンビネーション治療」という考え方です。コンビネーション治療は、いわばシワに対するオーダーメイドの総合的な治療計画です。専門の医師は、まず患者様の顔全体を詳細に診察し、どのシワがどの原因(筋肉の動き、たるみ、肌質の低下)によって生じているのかを正確に診断します。その上で、それぞれの悩みに最も効果的な治療法をパズルのように組み合わせていきます。例えば、ある40代の女性のケースを考えてみましょう。彼女の悩みは、眉間の縦ジワ、深くなってきたほうれい線、そして顔全体のハリ不足でした。この場合、まず眉間の表情ジワに対しては、原因である筋肉の動きを抑制するためにボツリヌス注射を行います。これにより、不機嫌に見える原因となっていたシワが改善され、表情が穏やかになります。次に、ほうれい線の原因である頬のたるみに対しては、ハイフ(HIFU)を照射し、顔の土台であるSMAS筋膜からリフトアップを図ります。さらに、ハイフだけでは補いきれない頬のボリュームロスに対して、少量のヒアルロン酸を注入し、立体感を整えながらほうれい線を浅くしていきます。そして最後に、顔全体のハリ不足と肌質の低下に対して、スネコスやリジュランといった肌育注射を顔全体に施します。これにより、コラーゲンの生成が促進され、肌の内側から潤いと弾力が蘇り、キメが整った若々しい肌質へと導かれます。このように、ボツリヌス注射、ハイフ、ヒアルロン酸、肌育注射という、作用機序の異なる4つの治療を組み合わせることで、それぞれの治療が単独で行われるよりも遥かに高い相乗効果が生まれます。